Parisi「統計的場の理論」を読む

1 Classical Equillibrium Statistical Mechanics

  • 統計物理学、熱力学は学部で勉強したはずなので、「平衡系の統計力学を知っている人は第1章は飛ばしてもいい」と書いてあるので一瞬飛ばそうかと思いましたが、やはり勉強する価値の高い内容ですね。
  • もしかしたら、学部で教えてくれた先生はこういうことを話したのかもしれないけど、どうもそんな気がしない。
  • 多くの先生は、もちろん統計力学、熱力学は使えるけど、その基礎のところをちゃんと深く理解しているかというと案外そうでもないから。

    Parisi先生のところにいるときに感じたけど、そこであった超一流の人たちは、必ずしも自分の専門分野でないことを聞いても(当時ぼくがいたところは小さいグループで、しょっちゅうみんながおしゃべりをしている所だったので、自分の仕事に行き詰ると、相手の専門のことなどお構いなくよく質問していました)、ええと、と言って、一番基礎のところに戻って、そこからきちんと説明できるのですよね。自分の基礎学力の無さを痛感しました。今でもそうですけど。

  • だからいい歳してこうやって勉強しているんですか?
  • え、ええ、、、
  • 平衡系の統計力学の基礎が
    a math image
    は良いとして、ここではまだa math imageとは言わないんですね。 この形がまずシャノンの情報理論から決まるという次の1.2節の説明は新鮮でした。
  • そして、1.3節でa math imageが絶対温度Tの逆数に比例することを示す。
  • (1.5)式は有限系では成り立たない、無限系でのみ成り立つというのも強調して いますね。無限系なんて存在しないはずだけど、平衡系の統計力学は 無限系でのみ成り立ち、しかもそれが実際の世界をよく記述するのは不思議な 気もする。
  • 系のエネルギーは保存されているので、初期条件に対してエネルギーはただ1つの値をとる。しかし、(1.5)式では異なるエネルギー値でも確率が0にならない、というところまでは分かるのですが、このことと、無限系でなければならないということは、そのままつなげられるのでしょうか?
  • 深く考えて書いてあるので、だんだん一語一語が気になってきました。 大きな系をa math imageの2つに分けて
    a math image
    と書けると「仮定する(suppose)」わけですね。
  • そうすれば
    a math image
    は当然じゃないかと思ったけど、平衡状態が実現していないといけないわけで、 まず系1を有限に保ったまま、系2を無限に持っていく、そのとき、a math image は小さいけど有限に保っていないといけない。
  • それから、測定時間を非常に長く保ってa math imageをゼロに持っていく。
  • a math image の条件でa math imageとするのを van Hove (ファン フォーべ)極限と言うらしいですね。
  • 平衡に達するまでの時間は、a math imageという例があると書いてある から、ほとんど無限の時間が必要なわけですね。
  • この操作が終わってa math imageをゼロにできた後では、(1.8)式は 2つの独立なa math imageの積になるから、 系1は有限でも(1.5)式を使ってもいいことになる。
  • でも、裏では上の操作があると考えるわけですよね。これが「熱浴」の正体か。
  • 「式(1.5)は、系1をほぼ無限大の系の一部(残りとは弱く結合)と考えれ ば正当化できる」と書いてありますね。でも、「ほぼ無限大」でいいのかなあ。
  • 「熱的に接触している2つの系は、同じa math imageで特徴付けられる 確率分布を持つことに注意することが重要」と書いていらっしゃいますね。
  • でも「熱的な接触」というのが上の意味で定義されているなら、だから a math imageと温度の間にシステムに依存しないユニバーサルな関係が あると仮定しても矛盾しないんだというのはちょっと分からない。

トップ   編集 凍結 差分 バックアップ 添付 複製 名前変更 リロード   新規 一覧 単語検索 最終更新   ヘルプ   最終更新のRSS
Last-modified: 2006-08-25 (金) 10:00:23 (6462d)