Parisi「統計的場の理論」を読む

第3章 The Ising Model

3-3 A solubable model: weak long-range forces
  • スピンの相互作用が a math imageとなっている モデルを考えるわけですね。ここで和はi, kとも1からNまで走るんでしょうか。
  • 多分。それを調節するために、係数に1/Nを入れてある。
  • でもこのNが本質的な役割を後で果たすわけですね。
  • まず、(3.22)式を示します。
    a math image
    a math image
    にかけて、
  • ちょっと待って。1をかけるのはいいけど、何でそんな形をかけるのがいいと分かるんですか。
  • 答えを知っているからです! まあ、一回自分で計算してみると、a math imageを消すように 形を選んでいるわけで、それから後で出てきますが、Nが大きいときは a math imageの肩の値が小さいところが効くので、a math image つまり、a math imageはスピンの平均というような意味もあることも 知っているので、すぐ思いつけます。 ええと、かけるとa math imageというスピン間相互作用は消えて、(3.22)式、
    a math image
  • なるほど、ガウス積分から出てくる二乗の項が、ちょうどスピン・スピン相互作用を打ち消すように取っておけばいいわけか。でも不思議ですね。何でスピン・スピン相互作用が消えてしまうように出来るのでしょう。
  • 消えてしまったわけではなくて、
    a math image
    a math image

a math image
a math image

になって、見かけ上a math imageを通してa math imageが相互作用するように見えるわけです。

  • なるほど。光子が電荷の間の力を媒介してるみたいですね。それじゃ、電磁相互作用も逆に光子を消してしまって、電子・電子相互作用だけにできるんでしょうか。
  • a math imagea math imageを含む運動エネルギー 項を持っていないので、実粒子じゃなくて補助場と言いますね。でも、もし質量がものすごく重いなら、見かけ上そうなるはずですが。
  • a math image は、(見かけ上)ほかのスピンとの相互作用が無くなって、取る値はa math image だから、分配関数は
    a math image
a math image

最後のcosh の項はa math imageによってなくて、

a math image

だから

a math image

ただし

a math image
  • えぇー、Ising系の簡単なモデルとはいえ、分配関数の和が取れて、もとまってしまったわけですか!
  • いや、a math image の積分が残ってるじゃないですか。
  • でも、1次元積分だから、いざとなれば数値的に求めたっていいわけでしょう。
  • ここではそういう方向には行かなくて、これをsteepest descent(鞍点法)で求めていってます。
  • 章の後ろの「ノート」にのっている
    a math image
    ですね。
    a math image
    a math image
    としてもいいですよね。私にはこの方が見やすい。
  • 私は
    a math image
    a math image
    の方が好き。
  • まあ、自分の使いやすいかたちで覚えておけば、、、
  • そうすると、上のa math image の最小の点の値を持ってくれば、a math image の場合は、おお、厳密解が求まったことになるんですね。感動!
 Pさんがポスドクで外国へ行ってしまって寂しくなりましたね。
 まあ、ぼくたちの世界では、お声がかかって、自分を成長させるチャンスだと思ったら、どんどん行かなきゃ。
 それに、世界全体が仕事場だから、また再会のチャンスもいくらでもあるから。2人だけで続ける?
  • (3.24)式のa math imageは関数のa math image
  • フリーエネルギー(密度)のa math imageです!
  • ああそうか、
    a math image
    ですね。だから
    a math image
  • これって、計算するとN/Vが出てきてしまうようなんですが、、、N/Vは1としてるんでしたっけ?
  • そうみたいですね。正確には密度 N/V が入るべきですね。まあ、それは一定だとして落としてしまったのでしょう。高密度極限とか、低密度(dilute)極限を取るときは落としたら危ないかもしれないし、定量的な議論をするときは入れないとだめですね。でも、Parisi先生は、本質的じゃないと思ったものはよく1にしてしまうから。
  • a math imageが最小値になる場所を求めるためにa math imageで微分してゼロ
    a math image
    これから
    a math image
    一方、自由エネルギー密度a math imageを外場a math imageで微分したものは 磁化の平均値だから
    a math image
    おお、実はa math imagea math imageだった!
  • 次のconnected 相関関数が線形応答理論でこうなるという式
    a math image
    はどうやって導くのかよく分かりません。この式からa math image で相関がゼロになるというのは分かりますが。
  • 線形応答理論では、相関関数が感受率(系の物理量が外場に対してどのように 応答するか)でかけるというのが大きな結論ですが、ちょっと前の係数までは 覚えてない、というか計算してみないと分からない。
  • でもこの式はそれほど難しいことを言わなくても、定義から出てくるんじゃないでしょうか。
a math image

ですから、

a math image
a math image

これより、

a math image

一方、

a math image

より

a math image

これで(3.26)式が出てくるんですね。

  • 次元a math imageが無限大のときも、相関関数はゼロになり、平均場が厳密になると 次に書いてありますね。次元が大きくなると周りの点とのボンドが増えるので、勝手に 動けなくなり、平均場が厳密になっていくというのは直感的に分かりやすいのですが。

トップ   編集 凍結 差分 バックアップ 添付 複製 名前変更 リロード   新規 一覧 単語検索 最終更新   ヘルプ   最終更新のRSS
Last-modified: 2006-12-06 (水) 23:43:29 (6358d)