Parisi「統計的場の理論」を読む
第3章 The Ising Model
3-4b The correlation functions (続き)
- 教科書の方は、別にこの節は2つに分かれていないと思いますけど。
- このページは、mimetexを入れてもらったwikiで書いているのですが、1つが長くなるとブラウザ上でページのどこを編集していたか分からなくってしまうので、勝手に別のページにしました。
- 次は、次元 が無限大の場合を考える。このとき、1つのスピンから見れば、お隣は前後、左右、上下、、、で 人と沢山手を繋いでいる人がいるわけですね。ただし
を一定にする、つまりが大きくなると温度が高くなる。
- でも、β は相転移温度の近傍に興味があるとはいえ、別に定数じゃないはずですが。
- うーん、が変わると、同じ現象が起こる温度は高くなっていくから、頭のなかでスケールしなさいということかな。まあ、実際上は、以下の計算で を無限大にするときに、 を一定にして極限を取るというところに現れるわけですが。
- まず方向に だけ離れているときのをFourier変換の形で で書く。
- は相関関数 と同じことですよね。それから、式(3.39)の上の は のミスプリですね。
- このままだと、 の和が分母に入っていて、 の積分が大変になってしまうので、公式
ただし は正または正定値行列。
- ええと、ヒートカーネル公式と言うんだったかな、自信ないけど。
- まあ名前はどうでも。これを使えば
となるから、 の積分は完全にν 個の積分にファクトライズしちゃうわけですね。
- すると驚いたことに、
なので、各積分はmodified Bessel で書けちゃう。 と対応するから、
- は無限大と思っているから、Modified Bessel, 変形ベッセルの級数展開の最低次 を使って(ちゃんと式(3.42)に書いてあるけど)
- でも、 が大きくてもαの積分で上が無限大だから、級数展開なんか使っていいんですか。
- それも評価していて、ベッセル関数の漸近展開
を使って(として)
- だからなら、αが無限大で被積分関数はゼロになるから気にしなくていいわけですか。なんか一生懸命計算してwikiに書いたけど、みんな教科書に書いてありますね。
- ちゃんと特殊関数の公式まで書いてくれてるから助かりますね。
- 我々の先生の世代だと、ベッセル関数の公式くらいで公式集を見ると、三角関数も公式集を見るのかいと笑われたものですが。
- 次も公式(3.43)をまず教えてくれて、これは に積分変数を変えておけば、の積分範囲はからにできる。それから、上半分の無限の半円を付け加えて、龍数定理からその中のポールを拾ってくるということでしょうね。
- たぶんベッセル関数の積分の公式を使ったりして、完全に積分できるんじゃないかと思うんですが、(3.44), (3.46)式の
- この冪の がどこから出てくるかくらいは理解したいですね。
- は のところでsingularになる、つまり分母がゼロになると言っているので、そのゼロを引いてしまって、分母は
ここで がゼロのそばが効くとして
として、積分を(D-1)次元の曲座標にすればだから
- しかし、今の証明を見ていると、別に極座標にしなくてもいいんじゃないんですか。
- あっ、そうですね、 から への変数変換をすれば、ですからね。欲しかったヤコビアンからのファクター が出るのはあたりまえですね。 がゼロのそばで展開するのも必要ないかな、これははずせないか、、、
- 「偶数次元の時」と書いてありますが、が偶数だというのを使ってないような気がしますが。
- うーん、そうですね。Parisi先生の頭の中にあるのは別な証明法だなあ、たぶん。
- の方も、 を展開してしまっていますが、それはいいんでしょうか?
- え、えーとえーと、極座標にしなくても良いんですか?それと、やを展開する時に、高次の項が残ってしまうことはないんでしょうか?
- もちろん、高次の項はあるでしょうね。 というように。でも複素関数で分母が となるときは、k次のポールで、コーシーの積分定理に効いてくるのもそこですから。
- 今は1方向の相関を考え、残りの2,3,...,D方向は積分しちゃったわけですで、大げさに言えば という方向の相関を考えたわけですが、次に一般のベクトル方向の相関を考えるわけですね。有理単位ベクトル、例えば って何ですか。そりゃあ、座標 (2,3,0,0,...,0)方向の単位ベクトルは偶然有理分数を成分としたものになりますが、、、
- まあ、それほど深い意味は無くて、D次元格子上の2点間の相関を考えていて、その方向の単位ベクトルということでいいんじゃないでしょうか。
- この2点を結ぶのベクトルを として、が無限大の時に
この が相転移点の近傍では つまりの大きさにしかよらないということを議論するのですね。当たり前かと思ってましたが。
- まあ、相関関数が無限大になるときは、そうじゃないとおかしいけど、確かにそうなっている、つまり格子の不連続性は相転移点のそばでは感じなくて、等方になるということを具体的に示したいのですね。
- 計算はstraightforwardなんですよね。(3.44)式の分母のところが、今度は
つまり
となるを求めるわけですね。この場合も(3.43)式はいいのかなあ。
が大きいという後から出てくるはずのことを使ってしまえば、
を使って出そうですね。
として2次方程式にして解いて、は負ではないから、1つの解が棄てられて、
但し それから教科書の記号 を使ってます。
うわ、としたんじゃ駄目なんですか、次の項まで計算してる、、、はい、
を使います。
ここでだったから
ですか。ふぅー。確かにこの式までくれば、はがゼロになる温度で発散するし、その補正項は等方でないを含みますが、その係数も小さくなるということがよく見えるわけですね。Parisi先生はちゃんと全部こういう計算をして理解しているのかー。
- そうですね。ここ、結構式のチェックなんかで時間を取られたから、全体がちょっと見えなくなってるような気がするので、念のためやったことを概観してみます。
この章のテーマのイジング模型について、2つ前の節の3.2で、平均場近似を適用して自由エネルギーを求め、 から(3.9)式が得られました。ここの式で、を無視して、(3.31)、あるいはそれを行列Aで書いた(3.32)式 が求まる。Aは逆行列を求める形になっているので解けないかと思うけど、運動量空間にフーリエ変換すれば解ける。しかも、を外場で微分したものは、相関関数だから、Aは相関関数(をβで割ったもの)になっている。これの遠距離での振る舞いを調べたわけですね。
あと、Aが求まると内部エネルギーも求まるので、それを温度で微分して比熱も求まる。
- はい。では次の節に行きましょう。